お気に入りに追加忙しいのに数字が伸びない。
この状態の原因は、能力不足じゃない。ほとんどの場合、仕事の“密度”設計を間違えている。
特に見直すべきは会議だ。会議は悪ではない。だが、目的が曖昧な会議は、筋トレで言えばフォームが崩れた高重量と同じ。やっている感はあるのに、狙った筋肉に効かない。結果、時間だけ消費して成果が出ない。
そこで必要なのが「決定密度マネジメント」だ。これは、1時間あたりにどれだけ価値ある意思決定を生み出せたかを管理する考え方。努力量ではなく、決定の質と速度で勝ちに行く。
まず定義をそろえる。
決定密度=(前進を生む意思決定の数)÷(投入時間)
ここでいう“前進を生む意思決定”とは、次の3条件を満たすものだ。
1. 責任者が明確になる
2. 期限が明確になる
3. 成果指標が明確になる
この3つが揃っていない発言は、議論ではあっても決定ではない。つまり、密度ゼロだ。
では、どう実装するか。現場で効くのは次の5ステップ。
【ステップ1:会議を3種類に分解する】
会議を「共有」「検討」「決定」に分ける。共有会議で決定しない。決定会議で情報収集しない。種目分けを曖昧にすると、時間対効果が一気に落ちる。
【ステップ2:アジェンダを“問い”で書く】
「売上報告」ではなく「来月売上を8%伸ばすために、広告比率を現状維持か増額か、どちらで行くか?」のように、Yes/NoやA/Bで着地できる問いに変える。問いが曖昧だと、議論は永遠に終わらない。
【ステップ3:冒頭5分で成功条件を宣言する】
開始時に「今日決めること」「決めないこと」「判断基準」を口頭で固定する。これだけで脱線は激減する。意思決定は自由討論ではなく、制約付きの設計作業だ。
【ステップ4:反対意見は“代替案セット”で出させる】
「それは違う」は価値が低い。「代替案A・必要コスト・期待効果」をセットで出すルールにする。反対の質が上がると、決定の質も上がる。
【ステップ5:24時間以内に決定ログを配信する】
会議後に「誰が・いつまでに・何を・どの指標で」を1枚にして共有する。記録しない決定は、現場で蒸発する。蒸発率が高い組織は、会議時間を増やしても絶対に強くならない。
ここで重要なのは、“会議時間を減らす”こと自体を目的にしないことだ。目的は利益を増やすこと。短い会議でも決定密度が低ければ無意味だし、長くても密度が高ければ投資価値はある。
目安として、週次で次の3指標を追ってほしい。
・会議総時間
・決定件数(3条件を満たした数)
・決定実行率(期限内完了率)
この3つを追うだけで、組織の弱点は必ず可視化される。多くのチームは「会議総時間」しか見ていない。だが本当に見るべきは、時間ではなく“前進量”だ。
最後に断言する。
仕事ができる男は、長く話す男ではない。短時間で、責任と期限と指標を確定させる男だ。
会議をイベントにするな。会議を生産設備にしろ。
意思決定の密度を上げた瞬間、あなたの1時間はコストから資産に変わる。今日の会議から、まず1つでいい。必ず“決め切る”習慣を入れていこう。
ここからは、明日からそのまま使える実務テンプレートを置いておく。
【決定会議60分の型】
0〜5分:目的・非目的・判断基準の確認
5〜20分:前提データ共有(事実のみ、解釈は後)
20〜45分:選択肢A/B/Cの比較
45〜55分:責任者・期限・KPIの確定
55〜60分:決定ログ読み上げ、全員の認識合わせ
この型の強みは、感情論を排除することではない。感情を意思決定に使える形へ変換することだ。現場の違和感、顧客の不満、メンバーの熱量。これらは全て重要な情報だが、数字や期限に接続されないと実行されない。だから最後は必ずKPIに落とす。
また、経営者やリーダーほど注意してほしいのが“善意の長話”だ。経験が豊富な人ほど説明が長くなり、無意識に場を支配する。これが若手の提案力を削る。発言時間の上限を決めるだけで、会議の知的生産性は跳ね上がる。目安は1発言90秒。長く語るより、鋭く問う。これが強い組織の空気を作る。
最後に、決定密度を上げるうえで絶対にやってはいけないことを3つ挙げる。
1つ目、責任者を「みんな」にすること。
2つ目、期限を「なるべく早く」にすること。
3つ目、成果を「頑張る」で終わらせること。
この3つは、一見前向きに見えて、実際は実行逃れの言葉だ。強いチームは言葉を曖昧にしない。曖昧な言葉は、曖昧な結果しか生まない。
会議はコストだ。しかし、設計すれば最強の投資になる。
今日からあなたのチームでも、1時間で1つではなく、1時間で3つの前進を作れ。決定密度を上げた組織だけが、景気や競合に振り回されずに勝ち続ける。
まずは次回会議で「責任者・期限・指標」の3点をホワイトボードに固定し、会議終了まで消さない。この一手だけでも、成果は目に見えて変わる。
数字に強いチームは、気合いではなく設計で勝つ。会議に入る前に問いを設計し、会議中に責任を確定し、会議後に実行を追跡する。この3段を回し続けた組織だけが、安定して成長する。












